start of the investigation since November 10, 2013 CONISCH Lab
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* 御利益(ごりやく)

『中西圭三 Neo-classic concert 2016』(山梨県甲斐市「ふれあい文化館」)に出演して

20 Mar 2016
コーニッシュ的瓦版

著者 コーニッシュ

日付 2016年3月20日

 

 シンガーソングライターの中西圭三さんが企画してから十数年来、今や全国津々浦々を回っておられます「Neo-classic conert」シリーズの公演(山梨県甲斐市)が久々にあり出演して来ました。おかしな話ですが、前日に何だか妙な胸騒ぎがしたので、本番当日の早朝から行きつけの大國魂神社にコンサートの成功祈願をお参りしてから向かいました。東京は雨が降り足取りも悪い上に、不確かな懸念迄もが空模様と相俟ったものだから幾許か気の重い船出だったのですが、目的地に向かえば向かう程、精々しく晴れて行く様子に、心はと言うと、臆面もなく軽くなって行くのでした。

 

 会場へ向かう途中までの車中、毛糸の帽子の如く被りを羽織った富士山も美しく見事でしたが、南アルプスを見渡せた時の雲間から降りていた一面の光のカーテンの幻想、と言ったらなく、メンバー一同快哉を上げました。天啓とすら思えて、終ぞ前日からの不穏な気配などは既に忘却の兎と化し、今日は良いことありそうだぞ、などと能天気に思いながら会場入りして行ったものです。

 

 とは言え、久々の圭三さんのステージ、前述のくだりなど無くともナーバスに為っていたことは確かです。圭三さんの来訪を心待ちにしていた皆さんの期待に応える演奏の支えをしっかりせねばと、褌を締めて掛かる思いでリハから臨んでいました。そんな緊張感が裏目に出たと言いますか、しかしながら思いもかけない展開に「九死に一生を得た」と言わずにはいられない話だと、帰路に就く車中で此れを書きながら、改めて思っている次第です。

 

 どんな歌手でも本番前の「声」は特に大切にされます。1ステージ通しで歌いっぱなしとなれば、リハでは確認程度の声出しでなければ、折角の本番前に「声」が失くなってしまい兼ねない、と言うことさえあると聞きます。今回も弦楽器との合わせを重視し、もう何十回と圭三さんと演奏させてもらっているピアノ伴奏のみのナンバーはサラッと目視した程度の合わせでした。

 

 圭三さんの名曲「次の夢」を確認している時です。「(1番の次は)その間奏じゃなくて、(本来2番が終わった後の)次の間奏に行っちゃって」と言う圭三さんからのご指示に、何故か「あ、今日はショートバージョンなんだ」と解釈して思い込んでしまったのが事の始まりでした。況してや譜面に日付まで入れて、絶対に間違えないぞと何度も確認し、これは今日だけのバージョンなんだと念じる様にまで言い聞かせて臨んでしまったのです。

 

 つまり圭三さんのご指示は、リハ時間短縮の為にその場限り省略の指示だった訳で、決して本番で省略して演奏しよう、などと言ったつもりは一切なかった訳ですが、省略しちゃった、と言うのが失態の真相です。リハーサルと言うものは本番で行うことと全く同じことをすると言うのが鉄則ですが、それもこれも時と場合に拠ることもある訳でして、何とも我ながら情けない思い込みの果てに起きた悲劇でした。

 

 さて、端折るべきではないところを端折ってしまった為に、次に来るはずの「2番の歌詞」をすっ飛ばしたまま、絶えず進み続ける自分に対し、曲をよく知るファンの方々は当然ながら率先して気が付いた風でしたが、圭三さんの制止により遂には演奏を一度中断せざるを得ませんでした。この後、自分の大いなる勘違いは、圭三さんの大いなる笑顔と優しさ、そして暖かいお客様の眼差しを持って救われます。余りに申し訳なく平謝り以外何もなかった訳ですが、何よりの真骨頂は圭三さんが僕に対して「時間を巻き戻して見ようか」と最大級の優しさを併せ持った可逆的措置を取って下さってからです。

 

 当楽曲の演奏に入る直前、圭三さんは自分の紹介として、番組メインテーマ曲を作曲したTBS「新・情報7daysニュースキャスター」(新旧両曲共に)と同局「ひるおび!」のテーマ曲を弾かせて下さいました。その「ひるおび!」からの結構長めのしかも細かい遣り取りの件(くだり)を、ほぼ一字一句違いなく再現してみせたのです(何と言う記憶力!)。その余りの完璧な再現模様もあって会場は大盛りあがり!既にこの時点で僕は「ボケ」担当としての地位を確立し、そのステージと言う名の戦場にあって何とか死せずとも立ち尽くす、と言うより片膝ついて顔など上げられない面持ちではありましたが、それでも何より圭三さんのエンターテナーぶりを確(しか)と目に焼き付けることができたことは、何よりの収穫だったと振り返ってみて思う訳です。

 

 ただの大失態では済まさずに済んだ..と思えるのは、終演後に圭三さんから「いや〜助かったな〜、アレ(自分の失態)でみんなだいぶ和んだよな〜(笑)」と、労いとも取れるお言葉があったからですが、それによって又、はたと気がついた訳です。

 

 「御利益優先主義は真の信心ではない」と言うのは自分の考えですが、差し詰め今回に関しては、「多大なる御利益を戴いた」としか今や思えず、早朝にお参りした祈願を聞いて下さった神様に感謝です。ただでさえ、有難き「ボケ」の地位を授けて下さった上に、「ひるおび!」のテーマ曲を2回も弾かせてくださり、手練手管のショー捌きを目の前で見られると言う幸甚。

 

 もう一点。書きながら浮かんで来た言葉は「お客様は神様だ」でした。いやはや、よく言ったものです。もし圭三さんが仰って下さった様に、お客様もまた僕の失態をお許し下さったのだと仮定しますと(都合良過ぎかな..)、それこそが御利益そのものであり、つまりは「お客様」に「神」の意志が宿り重なった・・そう考えれば、前記の言葉を踏まえてみても、いや〜何と含蓄のある有意義な日だったのだろう(遠い目)と思いたい・・否、きっとそう言うことなんだ、と思い静かに慰み、もう一度心の中で圭三さんとお客サマに謝ってから、今日のところは伏せ寝て、明朝には御礼参りに伺い、また、一から邁進する所存で御座います。

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